窓を選ぶ
窓を取り付ける位置や大きさ
窓といえば、光を採りこんだり風を通したりして、住まいを構成するもののなかでも重要な役割を果たしています。
間取りを考える上で窓の位置や大きさは大切な要素です。
窓には一般的にアルミ製のサッシが取り付けられますが、メーカーでは規格化された形状、寸法のものを用意していて、設計段階でどんな窓を採用するかは、コスト面から考えてこの規格ものの中からあれこれ選ぶわけです。
窓ってなんとなく適当に付けられているようですが、位置や大きさはそれなりの理由があって決まっています。
まずは、法律的に決まる場合。
居室といって、日常的に人が使用する部屋は住宅の場合、原則的にその部屋の床面積の1/7の大きさの窓が必要になります。
この大きさの窓がただあればいいというわけではなく、採光に有効な窓になっていなければなりません。
採光に有効な窓とは、道路に直接面しているか隣地から窓まで、ある一定の距離が必要になります。
この条件を第一に満足した上で、次に耐震性などを考慮して位置を決めます。
他には通風や家具の配置、外観や内観のバランス、防犯面はどうか、掃除はしやすいか、隣家との位置も配慮しなければなりません。
お隣さんと気まずいことにならないように初めにチェックしておかなければいけません。
また、開き方や形状などもその部屋の使い勝手によって、意匠性を考慮しつつ決めていきます。
窓と外観デザインの関係
また、窓はどんな形状のものを、どこにどのくらいの高さに取り付けるかによって外観デザインが変わってきます。
これを今度、部屋の中から見たときにどうなるか、配列を考えて取り付けたりもします。
とにかく明るくしたいからと、窓を大きくたくさんとると、耐震性や断熱性が劣るばかりでなく、家具を配置する場所が無くなるといったこともありますから、多方面からの検討が必要になってきます。
規則的に並べられた窓は外から見ても中から見ても素敵です。
高さや大きさをある程度揃えるときれいで失敗がありません。
その上、安定、安心を感じられます。
その逆にランダムに配置したデザインは個性が出て遊び心のある楽しいものになりますが、かなりの上級者向けとなります。
センス良く考えたはずが、かえって野暮ったくなる可能性もあるので注意が必要です。
家の顔とも言える玄関がある面だけでも凝って配置できるといいですね。
これらのように、窓はやみくもに取り付けられているのではなく、法規、採光、通風、温熱、外観、内観、とあらゆる要素を多角的に検討して決められているのです。
窓の形状
窓の形状(開閉形式)はどのようなものがあるか、メリットやデメリットなども含めて見てみましょう。
引き違い窓
画像:全てLIXILサイトより引用 https://www.lixil.co.jp/lineup/window/hint/select_room/
左右にスライドするタイプで、最もポピュラーなお馴染みの窓です。
単調さから、最近のデザインに凝った家ではあまり使わないこともあります。
真ん中の桟の位置がずれた変形タイプもあります。
メリット
・障子や網戸など複数の建具を重ねることができる
・開き窓と違い開閉するスペースが必要ないので窓回りが自由に使える
デメリット
・外側が掃除しづらい(2階などでは乗り出して窓拭きするのは危険)
・デザイン性は高くない
掃き出し窓
引違い窓のひとつに、「掃き出し窓」があります。
引違い窓で床までのサイズのもので、外部との出入りが出来る窓です。
掃き出し窓は昔、ほうきで掃除していた時代に、ゴミを「掃き出し」ていたから、という由来があります。
掃き出し窓は南側の大きな開口に採用されることが多いです。
メリット
・大きく開くので、家具などの出し入れがしやすい
・採光や通風が良い
・ウッドデッキなどを設置すると第二のリビングにできる
デメリット
・防犯面で弱い(シャッターなどが必要になる)
・断熱性が悪くなる
・外から見えすぎるためプライバシー対策が必要になる
上げ下げ窓
引き違い窓を90度起こしたようなもので、上下にスライドするタイプの窓です。
洋風の家に似合う窓です。
格子が入ったものはより洋風さが増します。
洋風な家以外では最近は使われない傾向にあります。
上下に開口ができるものは1箇所のみの設置でも換気が促進されます。
メリット
・防犯性がいい
・通気性がいい(2枚とも開口できるもの)
・気密性がいい
デメリット
・外側が掃除しづらい
すべり出し窓
桟が真ん中に入らないスッキリした形状の窓。
すべり出し窓には2種類あって、たて方向に押し出すように開くもの(たてすべり出し窓)と、これを90度回転させて横方向に押し出すように開くもの(横すべり出し窓)があります。
どちらもスッキリ見せつつ換気したい場所に採用します。
すべり出し窓以外にも言えますが、外に開くタイプの窓は、外側のスペースの確保が必要です。
歩くところでは頭にぶつからないよう、また、駐車場などでは車やカーポートにぶつからないよう窓の高さに気を付けましょう。
メリット
・風を取り込みやすい(通気性は、たてすべり出し窓>横すべり出し窓)
・雨が入りこみにくい(横すべり出し窓)
・外側の掃除がしやすい(縦すべり出し窓)
・気密性が高い
・サイズの大きいものは防犯性が悪い
デメリット
・雨の日に開けたままにすると窓の内側も濡れる(縦すべり出し窓)
ルーバー窓(ジャロジーともいいます)
ガラスが小さい羽状になっていて一枚一枚が回転して開くタイプの窓。
雨でも換気することができますが気密性に劣ります。
水回りなどに使われる窓です。
最近ではあまり使われなくなってきました。
このルーバーの羽をもっと大きくして四方に桟を取り付け上部を軸に押し開くものを「オーニング窓」といいます。
2枚~5枚のものがあります。
これも換気に向いています。こちらは気密性が確保できます。
メリット
・角度が調整できるので、外から見えにくい(プライバシーを確保できる)
・雨が入りこみにくい
デメリット
・防犯性がよくない
・気密性が悪い(オーニング窓の方が気密性が高い)
・修理や交換は自分では難しい。
内倒し窓・外倒し窓
下部を軸に部屋側に開く、又は外側に開くもの。
それぞれ手の届かない高所に取り付く場合でも開閉できる仕組みになっています。
換気や排煙機能があります。
内倒し窓は水回りの換気用として、外倒し窓は排煙窓としてキッチンの高所に設置されることが多いです。
メリット
・曇りガラスなどを使うと外から見えない
デメリット
・開放時に雨が降ると室内に入ってしまう
はめ殺し窓(フィックスともいう)
読み方のまま、開かない窓。
換気はできないので、単に採光をとるため、又は風景を取り込む場合に採用する窓。
サイズ・形状はいろいろ、丸窓もあります。
メリット
・いろいろな形状にできる(丸窓もあり)
・眺めがよくなる
デメリット
・換気ができない
出窓
空間に奥行きができて明るく広がりが感じられる窓です。
飾り棚として使われることが多い窓です。
最近ではあまり取り付けなくなってきたように感じます。
夏暑く、冬は結露しやすいのが難点です。
メリット
・明るく開放的である
・スペースを有効利用できる
デメリット
・夏は熱がこもる。冬は結露しやすい。
天窓(トップライト)
明るく開放的なので1ヶ所つけただけでも印象が変わります。
明るさが取れない場所に設置すると効果的です。
メリット
・採光は壁に設置した窓の3倍取れる
・開放的である
デメリット
・取付の位置を考えないと、まぶしすぎたり、夏に暑くなりすぎる
・掃除やメンテナンスがしづらい
・雨漏りの心配がある
連結したものなど他にも種類はいろいろありますが、以上が主な窓の例です。
間取りを決める際の大きな要素となるものですから、いろいろな面から検討して決めましょう。
ガラスの話
窓に使うガラスの話です。
いまや新築物件では100%ペアガラスを採用しています。
ペアガラスとは、ガラスとガラスの間に空気層を設けた二重ガラスのこと。
結露しにくく断熱性に優れています。
さらにこのガラスの内側に特殊金属膜をコーティングして日射を軽減し、より断熱性を向上させたものもあります。
ペアガラスの片側一枚に特殊樹脂膜をサンドした合わせガラスを用いて、防犯ペアガラスとしたものもあります。
それだけ物騒な世の中になったということでしょうか。
以前では、1階の侵入のおそれのある窓には、窓の外側に柵状の面格子を付けていましたが、掃除がしづらかったり見た目にうっとうしいことから防犯ペアガラスを採用する物件が多くなってきました。
家全体からみると、屋根や壁に比べて窓は最も熱が逃げやすいところです。
取り付く場所や方角と共に機能面を考慮しながらガラスを選択しましょう。
まとめ
窓の種類や大きさ、取り付け場所によって印象が違ったり、快適さが決まったりと内外共に影響するのが窓です。
機能面でもデザイン面でも印象がだいぶ違ってくるのでよく検討して決めると良いと思います。