新築の電気配線のポイント
取付場所について
現代の生活は電気製品で成り立っていると言っても過言ではないくらい家の中は家電だらけですよね。
これだけの家電製品を所定の場所に無理なく置いて使い勝手を良くするには、家の電気配線もそれに対応できるように配置されていなければならないということです。
家を設計するにあたって間取りは重要ですが、それにも増して気を遣うのが電気配線なのです。
これしだいでその後の生活のし易さに大きく影響してきますから。
照明
一部屋一つあれば用は足りますが、数を増やして埋め込みにしたり、間接にしたり、壁に付けたりと、照明に凝るだけで家の印象はガラリと変わります。
スイッチ
センサーやタイマーの他、スイッチ自体が取り外せるリモコンみたいなものもあってスイッチの機能は進化しています。
それにより、昔に比べると照明の数は増えたかもしれませんがスイッチの数は減ったかもしれません。
コンセント
極端に言えば、昔に比べると倍近くの数になっているような気がします。
キッチンだけでも、冷蔵庫用、電子レンジ用、炊飯ジャー、電気ポット、トースター、コーヒーメーカー、ミキサー、ベーカリーと料理に家電は欠かせません。
パソコンも今ではどこの家庭でも当たり前のようにあり、それに伴いプリンター、モニター、スピーカー、モデムといった周辺機器を置く場所には、いくつあっても足りないくらいです。
設計段階では、テレビやオーディオ機器類とパソコンを置く場所だけはしっかり押さえておくことが肝心です。
ただ、現在ではデスクトップパソコンより、スマートフォンで何でもできるので、Wi-Fi環境を整えることの方が大事ですね。
パソコンは使わずスマートフォンとタブレットをお使いの人もいることでしょう。
ルーターの置き場所が家の中心になるように検討しましょう。
あと気をつけたいのが、掃除機用のコンセントです。
家電製品で差しっ放しになってしまう箇所が多くなりますからホールや廊下、ドア付近など要所に設けておきましょう。
取付高さについて
スイッチやコンセントの位置が決まったら、今度はその取付高さについて考えてみましょう。
特に要望がなければ、電気屋さんはいつものように決まった高さに取り付けてしまいます。
一般的には、スイッチが床から120cm、コンセントが25cmとなります。
場所によって変わるところもあります。
例えば、冷蔵庫用のコンセントは床から190cm、洗濯機用は120cm前後と、最近では家電も大型化していて、その影に隠れないような位置にします。
また、造り付けカウンターの上に置いて使うような器具を想定した場合、カウンターの上面から30~50cm離した位置にします。
車椅子で室内を移動する生活ですと、スイッチはやや低めに、コンセントはやや高めにすることもあります。
このように設計段階で間取りとにらめっこしながら電気配線を考え、さらに工事現場でも位置や高さを再確認するというように、実際の生活をイメージしながら配線を行います。
ここまで念入りにやっても、手持ちの家具が運び込まれると「もう少しずれていれば」ということもあるので、設計にあたっては実際に配置する家具をリストしておいて、全ての家具の寸法を把握した上で配線計画をしましょう。
電気工事の配線のコツ
テレビやパソコンといったメディア機器が普及したことで住宅の配線も複雑化しています。
コンセントと電話線、テレビのアンテナジャック、LANの差込が全て一体になったマルチメディア対応の配線プレートなるものもありますが、無線化が進んだことでこれらも必要無くなりつつあります。
例えばネット接続を考えた場合、電話線を使うのか光回線にするのか、ケーブルテレビにするのかいろんな選択肢がありますが、入居時点ではどれにするか決まっていない場合もあるでしょう。
そのような場合はどんな線でも対応できるように予め配線するのではなく、空の配管をしておきます。
その空の管の中には、後で線が通せるように針金を通しておいて、どんな線でも引っ張り込めるようにします。
まず、外の引き込み点から機器類を置く場所へ配管してそこから各部屋へハブ状に枝分けした配管をします。
こうすれば部屋ごとに配線が違った場合でもスムーズに対応することができます。
あらかじめ機器類の置き場所が特定できない場合は、天井点検口のある場所の天井裏を拠点としておけば、室内に管を露出することなくスッキリ納まります。
その拠点には機器類の電源が必要になるので、忘れずにコンセントも設置しておきます。
こうしておけば、あらゆるメディアに対してシンプルに、完璧に対応できます。
新築の電気配線での失敗例
新築の家ができて、実際の生活が始まると意外と不便を感じたりするのが電気配線です。
計画の段階では図面上に記されているスイッチやコンセントの位置を見てもあまりピンとこないでしょう。
そこから立体的に考えるのは、なかなか難しいと思います。
今現在の住まいでよ~くシミュレーションして失敗しないようにしましょう。
例えば、スイッチ。
廊下やホール、階段といった通路部分は1ヶ所でしか入り切りできないととても不便です。
「3路スイッチ」といって、2ヶ所で入り切りできるものを適切な場所に取り付けておくことです。
あと、おかしやすいミスが、開いたドアの陰になってしまうとか、玄関の照明のスイッチが靴を脱がないと届かないとか。
次にコンセント。
部屋の隅からどのくらい離したらよいかとか、取り付ける高さなど、配置する家具などを想定しておかないと、家具の背中に隠れてしまったり、欲しいところに無かったりと支障をきたします。
今まで使っていた家具を持ち込む場合や、新規に購入予定の家電製品などをリストアップしておくことも大切です。
また、電子レンジや乾燥機、ドライヤーといった大きな電気容量を必要とする器具を使うコンセントは、分電盤から直接、専用の回路で引かないと、使うたびにブレーカーが落ちる事態となります。
そして、見落としがちなのが、掃除機用のコンセントです。
廊下の途中や階段など、日常はただの通路であっても設置しておかないと不便です。
今日の生活は家電製品であふれており、料理、洗濯、掃除、オーディオ、パソコンとコンセントがいくらあっても足りません。
予算もありますから、やたらにたくさん付ければいいというものでもなく、それぞれの置く場所をしっかりと決めておくことが肝心です。
電気配線は、私たちプロでも難しいものがあります。
それだけに、間取りを考えるのと同じくらい神経をつかう作業になります。
照明の取り付けのコツ
照明ひとつで住まいの雰囲気や印象はガラリと変わります。
例えば、取り付け位置と数。
普通に部屋の真ん中に1ヶ所大きいものを付けたときに比べて、小さめのものを天井に埋め込んだり、壁付けのものを数ヶ所に点在させたりすると、陰が重なりあったりして独特の雰囲気と空間に奥行きをもたらします。
それから、電球の色によっても印象が違います。
蛍光灯の青白い光は、作業する場所に向いていてクールな印象となり、白熱灯は落ち着いた暖かな空間となります。
蛍光灯の昼白色、昼光色は、昼間の明るさと似ているので、活動の場にあっているんですね。
そして白熱灯は日が落ちる前の夕焼けのようにホッとしたくなりますよね。
特に料理を引立たせるのは白熱灯です。
食品売り場やレストランでは白熱色の照明が使われていますね。
夜間に建物を眺めると、電球の色によって受ける印象も異なります。
住宅は安らぐ場所であり、白熱色を多用すると居心地の良い空間をつくることができます。
ホテルや旅館を思い浮かべてみてください。
蛍光灯って使われてないと思います。
白熱灯は癒しの効果があるんですね。
逆に、本を読んだり手元の作業をするようなスペースには、蛍光灯の白い光の方がよく見えるので場所により検討してくださいね。
ただ、同じ明るさを得るために白熱灯は蛍光灯に比べてより電力を消費します。
最近では家庭でもエコがさけばれていることから、白熱色の蛍光灯やLEDを使った照明が普及してきています。
また、廊下などの通路では長時間点けているわけではなく通る時の少しの時間だけですよね。
そのような場所では人感センサーにすると便利でしょう。
消し忘れもなく必要な時だけの点灯になるので節約にもなりますよ。
まとめ
後になってこうすればよかった、ああすればよかったと出てくるのは電気配線、コンセントの数や位置についてが多いです。
建つ前ではなかなか想像できないかもしれませんが、生活スタイルを思い浮かべながら、どこでどのような電化製品が必要か、将来どんな家具が増えてくるかなど、思いつく限り考えてみてくださいね。
照明計画によって家のイメージがガラッと変わるのでおろそかにせず十分検討してみてくださいね。