木造建築の基礎工法は、古くから採用されてきた布基礎と、今日一般的になりつつあるベタ基礎があります。
布基礎はTの字を逆さまにした断面をしており、外壁や主要な間仕切り壁に連続的に設けられます。
しっかりした地盤であれば布基礎で十分です。
ベタ基礎は比較的軟弱な地盤で採用され、1階部分全面耐圧盤とよばれるコンクリートを打ちます。
それによって建物の荷重を満遍なく地盤に伝えることができます。
床下の湿気を防いだり、シロアリの被害を受けにくく、コスト的にもさほど変わらないことから今では標準的になっています。
ベタ基礎が万能というわけではなく、さらに軟弱な地盤の場合は地盤改良工事を行います。
建物にかかる様々な荷重を地盤に伝えて、上部構造をしっかり支える「基礎」というだけあって建物では一番肝心な部分です。
それだけに基礎に使用する材料は重要な働きをしています。
基礎工事の流れを見てみましょう。
基礎はコンクリートと鉄筋を用いて、建物のかたちにあわせて現場でつくられます。
はじめに、所定の深さまで土を掘削します。これを「根切り」といいます。
掘ったところへ砕いた石を敷き込み、大きなハンマーのような機械でよく突き固めます。
その上に地面からの湿気を防ぐためにフィルムを敷きます。
次に型枠を立てるところに「捨てコンクリート」と呼ぶ、鉄筋の入らない薄いコンクリートを敷き均します。
捨てコンクリートが固まったら、基礎を組み立てるための基準線となる墨をコンクリート面に印します。
「墨出し」という作業です。
そして基礎の中心部に鉄筋を組み、型枠を側面に組み立ててアンカーボルト(基礎と土台や柱を緊結する金物)と呼ばれるものを
基礎からとびだすようにセットし、枠の中にコンクリートを流し込みます。
コンクリートは、あらかじめ工場でつくられ専用の運搬車で現場に運び込まれ、コンクリートポンプ車と呼ばれる車にいったん送り込まれ、太いホースで圧送され型枠の中に流します。
コンクリートが固まって充分な強度がでるまで、しばらく養生期間をとります。
コンクリートは乾燥して固まるのではなく、水と混ざる化学反応によって硬化します。
したがって、夏の暑い時期は急激に水分が蒸発し、硬化不良を起こしヒビ割れの原因になるので注意が必要です。
コンクリートが硬化したら型枠を取り払います。
基礎の周りに掘った土を埋め戻し、余った土は敷地内に敷き均すか、他所の処分場まで運びます。
これを「残土処分」といいます。
これで基礎工事は完了です。
コンクリートは圧縮力(押しつぶす力)に対しては強いのですが、引っ張りには弱いので、その引っ張り力に抵抗するために鉄筋を入れます。
基礎は常時、建物から荷重を受けます。
そして地盤からも反発力を受けます。
さらに風や地震の力も加わります。
このようなあらゆる力を受ける基礎は、その部分によって圧縮されたり引っ張られたりするわけで、コンクリートと鉄筋は互いに抵抗力を負担しあって頑丈な構造物となり建物を支えています。