外壁工事について

住まいの性能で重要なものをあげるとしたら、まず耐震性が思い浮かぶのではないでしょうか。

地震に対して抵抗する方法として、以前は筋交いが一般的でしたが、今日では耐力面材と呼ばれるパネル状のものを外周の壁に
張りめぐらします。

線で支えるより面で支えた方が強いのは容易に想像できると思います。

また、パネルを外壁に使うことによって断熱材が隙間無く充填できるメリットがあります。

このパネルもいろんな材質があって
・木質系の合板
・火山性ガラス質系
・無機質セメント系
など、どんどん新素材のものが開発されています。

 

パネルには多くの性能が求められます。

強度はもちろんのこと、長期にわたる耐久性、耐火性、耐蟻性、透湿性、断熱性、釘の保持力、施工性といったところでしょうか。

このなかでも透湿性能が意外と重要なのです。

木造では壁の内部で起こる結露が、耐久性及び構造耐力上、甚大な被害をもたらします。

この結露を防ぐために湿気(水蒸気)の排出性能(透湿抵抗)が関わってくるのです。

壁の中に入り込んだ水蒸気をすみやかに排出できる性質を持っているかということです。

 

壁はただ単に強ければ良いというものではないんですね。

科学的な性質も理解して材料を選定することが大切です。

 

そして次に、耐力面材を柱に直接張りつけたらその上に「透湿防水シート」という雨水浸入を防止するためのシートを張ります。

このシートは、水滴をはじきますが水蒸気は通す優れものです。

雨具でありながら汗で蒸れないという衣類でも同じような機能のものがありますよね。これと似た働きをします。

前述したように、壁の内部で内外の温度差による結露を防止するために、壁は湿気を排出する仕組みが必要で、そのために特殊な機能をもったシートを使うのです。

そしてこのシートの上にもう一回細い木材を打ち付けます。

仕上げの外壁材はこの木材の上に張りつけます。

この木材の厚み分が、外壁材とシートの間に空気層をつくることによって、さらに効果を発揮します。

具体的には

・外壁材が受けた熱を遮断する(空気も断熱の役目をします)
・上昇気流が起きて熱や水蒸気を外気に放出する
・万が一外壁から浸水しても直接シートに伝わらない

といったところでしょうか。

現在の工法は、昔の家に比べてさまざまな工夫がなされているのです。

 

それから、外壁仕上材について。

今もっとも普及しているのが、サイディングとよばれる板状のものです。

材質は、セメント成型加工されたもの(窯業系)と金属系に大きく分かれます。

柄や種類が豊富でどのようなスタイルの建物にも採用できます。

 

金属のサイディングは軽量のため、既存の壁の上に張り付ける方法のリフォームでも多く採用されています。

最近では太陽光で汚れを分解したり、雨水で汚れを洗い流す機能のものがでてきています。

これにより長期に渡って美観を保つことができメンテナンスコストも抑えられます。

 

このサイディングは工場完成品を現場で張り付ける扱いやすさで、工期が短縮できてひび割れも少ないことから飛躍的に普及しました。

現場で練って塗りつけるモルタル壁はすっかり影をひそめていましたが、ひび割れしにくい材料の開発と、目地の無い連続したデザインが求められて、また復活してきています。